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●●●小説・マンガ●●●
ブラジルの小説の翻訳って少なくって泣ける…。
日本人が書いたものは、移民をあつかったものと
冒険小説(あるいはハードボイルド?)が多いですね。
| ブラジル人作家 | 日本人作家 | その他の国の作家 | ちょこっとブラジル | マンガ |
※コメントがないものがありますが、かなり前に読んだ、あるいは手元にない、などの理由で、コメントできるほど記憶が鮮明でない、というだけです。他意はありません。
| ブラジル人作家の小説 |
| 砂の戦士たち ジョルジェ・アマード 岡部孝次訳 彩流社 | |||
| これ大好き!バイーアのストリートチルドレンたちが主人公の連作(だと思うけど、長編なのかな…)。訳が不満で、思わず原書を取り寄せてしまったくらい好き。不満とは言っても、子ども時代を凝縮したような、物語のせつなさや美しさはちゃんと伝わってくるので、興味のある方はぜひ読んでみてください(ただし、甘ったるい子ども賛歌ではないよ)。ブラジル、とくにバイーアに興味がない人にはちょっとわかりづらい記述も多いですが、そういうところは気にせず読んでいってもだいじょうぶだと思う(どうしても気になるようなら、バイーア・ブラックを読むとよいと思われます)。作者のアマードは惜しくも去年亡くなってしまいましたが、もっと邦訳を出してほしい作家です(正直言って、パウロ・コエーリョよりアマードの方がずっと素晴らしいのになぜだ?と思う)。 | |||
果てなき大地 ジョルジュ・アマード 武田千香訳 新潮社 |
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カカオ ジョルジュ・アマード 田所清克訳 彩流社![]() |
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| アマード初期の傑作、とされていまして、わたしもポルトガル語講座で原文の冒頭を少し読んだことがあるんですが、これってプロレタリア文学そのものですねぇ。『砂の戦士たち』のラストがかなり唐突な感じがしたんですが、これが先にあったとなると、なんだか納得できます。 | |||
さようならブラジル 国籍不明になった子供たち ルイス・プンテル 小高利根子訳 花伝社 |
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| 軍政下で、ヨーロッパに亡命した人たちの子どもたちの話。お恥ずかしながら、これを読むまでブラジルに軍政がしかれていたことを知りませんでした…。 | |||
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アルケミスト 夢を旅した少年 パウロ・コエーリョ 山川鉱矢・亜希子共訳 地湧社 |
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ワールドカップ殺人事件 ペレ 安藤由紀子訳 創元推理文庫 |
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| あのサッカーの神様ペレが書いた(どうも代作らしいけど)タイトル通りのミステリ!ミステリとしてより、ペレのサッカー観、サッカーに対する気持ちがあちこちに出てて、そっちの方がおもしろい。ちなみに、解説は加藤久さんです。 | |||
シャーロック・ホームズ リオ連続殺人事件 J・ソアレス 武者圭子訳 講談社 |
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| ミステリファンのくせに、ホームズものをほとんど読んでいないわたしは、ホームズもののパロディか…とあまり興味がなくて手にしなかった本なんですが、『ブラジルを知るための55章』(アンジェロ・イシ著)に紹介されていたのを思い出して読んでみました。 話は女優サラ・ベルナールのブラジル公演から始まります。サラからイギリスの名探偵ホームズのことを聞いたブラジル皇帝ドン・ペドロ二世の依頼で、ホームズとワトソンがリオにやってきます。ホームズが依頼されたのは、バイオリンの名器ストラディヴァリウスの行方をさがすことだったのですが、同時期にリオでおこった連続殺人事件も捜査することになります。ホームズものをよく知らないので、どこまでパロディが生きているのか今ひとつわからなかったんですが、それでもにやりとさせられるところは多かったです。にやりというか、こりゃ、カチカチのシャーロキアン(ホームズ信奉者)が読んだら怒るんじゃないか、というとこがけっこうありました。シャーロキアンでないわたしには、そういうとこがおもしろかったんですが。あと、奴隷解放以前のブラジル皇室、リオの雰囲気などもおもしろいです。暑い国なのに、なんでブラジル人たちはヨーロッパのように黒っぽい服を着ているのか?とホームズが不思議がり、白い服を仕立ててブラジル人から奇異な目で見られたりするところがあって、この時代のブラジル上流階級にはヨーロッパコンプレックスがあったんだなぁ、と感じたし、ワトソンによるカイピリーニャの“発明”の部分とかもおかしい。ホームズの時代のロンドンについてある程度の知識がある人には、なかなかおもしろいラストになってますが、ミステリとしてより、ホームズ『リオの休日』って部分のほうがおもしろいかな。 |
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太陽通りのぼくの家 O.レッサ 池上岑夫訳 岩波少年文庫 |
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| これは絶版になっていて、ずっと探していたのですが、図書館で見つけてやっと読むことができました。ブラジル北東部のマラニョン州に住む少年を書いたお話です。オリジェネス・レッサという作家が自分の少年時代をもとに書いた自伝的小説らしいのですが、この方1903年生まれなんだそうで、自動車を見てあわてふためく住人たちの様子や、お手伝いさんの恋人が「ゴム景気でわくマナウス」に働きに行ってしまう、など多くのエピソードに時代を感じます。また、お面と紙吹雪、スプレーなどで楽しむカーニバルの様子も、のどかでいい感じです。 それらファンタジーのように感じられる情景もさることながら、ブンバ・メウ・ボイ(牛踊りと訳されている)の話や、食べ物の名前、田舎の様子など、マラニョン州の風物も興味をひかれます。 しかし、さすがに子どもはたいして変わらない、と苦笑させられる部分が多く(性的な部分は「へえ、岩波少年文庫って、これオッケーなんだ」とちょっとびっくりした(笑))。そういう「よい子」ではない部分がいきいきと描かれているため、病弱な母親や、仲間はずれにされている少年とのエピソードなどが光り、胸をうちます。 エピソードの羅列、という感じがあって、ちょっと最初は読みにくいんですが、リズムになれてしまうとずっと読んでいたくなります。訳者あとがきによると、ブラジルにはこういう作家の少年時代を題材にした小説の系譜があるようで、わたしはこういうへんに美化されてない子どもを書いたものは好きなので、もっと色々読んでみたいです(そういや、アマードの『砂の戦士たち』もこの系列ですね)。とはいってもなかなか翻訳されないと思うので、原書でがんばって読んでもいいんですが、なんといっても、どれがそういう本なのかさっぱりわからないとこが問題…。 |
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砂糖園の子 ジョゼ・リンス・ド・レーゴ 田所清克訳 彩流社![]() |
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| これは、いわゆるファゼンデイロ(大農園主)の一族の生活を、少年の目から描いた作品で、ブラジル文学史上非常に重要な作品のようです。帯に「ブラジル版“失われた時を求めて”」とありますが、わたしはプルーストを読んだことがないのでこれがあたっているかどうかはわかりません。しかし…こういう作品を日本に紹介したい、という熱意のもとに出版されたものであろうことを思うとたいへん言いにくいんですけど、訳が「どうしてこうなったの??」と頭をかかえるくらいシュールです。ダイナミックな自然、少年の目にうつるきらめきなどが伝わってくるだけに惜しい…。 | |||
遙かなる調べ エリコ・ヴェリッシモ 伊藤奈希砂訳 彩流社![]() |
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| こちらは「ブラジル版赤毛のアン」と帯にうたわれています(彩流社はこのパターンのコピーがお好きみたいですね)。どのあたりをして『赤毛のアン』としているのかな、やたらロマンチックな夢見る少女、みたいな話だったらやだな、と疑りながら読んでみたのですが、主人公をめぐる設定や世界に、びっくりするほど似た感じがあります。訳者は「イギリス的」と書いていますが、たしかにしばらくはこの世界がブラジルと思えなくて、「これはブラジルだぞ」と自分に言い聞かせながら読んでました(笑)。わたしは南部に行ったことがないから、よけい意外な感じが強いのかもしれませんが。 『赤毛のアン』との類似点ですが、ヒロインのクラリッサが教師をしているところはアンと同じなんですが、天涯孤独のアンより、誇り高い一族を背負っている、日記に思いを託しているというあたりは『可愛いエミリー』のエミリーのほうに近いです(まあ、エミリーではマイナーすぎるから、アンになるのは当然ですが)。 モンゴメリのヒロインたちにくらべると、このクラリッサはずっとクセがないキャラクターで、いかにも清純な乙女、という感じですが、それだけに、このお先真っ暗な一族はどうなっていき、その中でクラリッサはどうするのか、というのが気にかかります。これは連作になっているらしいので、ぜひ続きを出してほしいです。 |
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| 日本人作家の小説 |
蒼氓 石川達三 新潮文庫 |
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デウス 戸井十月 双葉社 |
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山猫の夏 船戸与一 講談社 |
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| 思ったよりおもしろかったんだけど、ディテールに「へ?」と違和感を感じるところが結構あった。ささいなことだけど、そのせいかあまりブラジルって感じはしなかったな(なんかマンガにもなってるみたい)。 | |||
カルナヴァル戦記 船戸与一 講談社文庫![]() |
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| これは、ブラジルを舞台にした短編集です。リオのカーニバルを舞台にしたタイトル作から始まって、ミナスのガリンペイロ、東北部、日本人移民、セラードのバンデイランチ(作中ではバンデイラになってますが)、マクンバ、アマゾンと、ブラジル総花的な品揃え、というか、かなりベタですね(笑)。まあ、でもこういう作品集は他にお目にかかったことがないので、けっこう楽しめました。ただ、ピラニアは…そこで思わず笑ってしまったので、クライマックスが台無しでした…。 | |||
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リオの狼男 平井和正 早川SF文庫 |
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| アダルトウルフガイシリーズの一冊。考えてみると、これが最初に読んだブラジル本だった。当時はそういうものか、となにも考えずに読んでいたけど(その頃はブラジルに興味がなかったので)、今読むとすごいかもしれない。今は本のタイトルが変わってるみたいですね(くわしいことは知りませんが)。 | |||
輝ける碧き空の下で 第一部(上)(下)、第二部(上)(下) 北杜夫 新潮文庫 |
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| 第一回の笠戸丸移民から、第二次世界大戦後の勝ち組、負け組の争いあたりくらいまでを、多様な人物たちを描くことで書いた群像劇。あとがきからすると、作者自身、これを移民史として書こうとしたようで、小説ではありますが、たしかに移民クロニクルという感じがしました。作者がもともと三部作としてかんがえていたのを、二部で切り上げたせいもあり、ややものたりなさはありますが、長いし、じつにたくさんの移民をとりあげていることから、やはり読み終わったときにしみじみとした感慨が残ります。移民たちの中で、唯一掘り下げた描写がされている(北杜夫らしい)躁病気質の山口佐吉は、はじめは「こんなひとがいたらイライラするよなぁ」と思いながら読んでいたのですが、途中からなんだか「笑える人」になり、最後には「愛すべき人物」へと変貌しました。この人がいなかったら、これは茫洋とした物語になっていたんじゃないかとも思います。でも、やっぱり三部まで読みたかったな。 | |||
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漂流街 馳星周 徳間書店 |
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| 日系3世が主人公の、東京を舞台にした小説です。わたしはダメでしたが(どこがどうダメだったか、というのは、読書日記の方に書きました)、セックス&バイオレンス、人生の裏街道、マフィアなどのキーワードが好きな人にはいいかもしれないですね。まあ、日本人が大嫌いなブラジル人もいるので、こういう人もいるかもな、という気はしますが、それにしたって好きにはなれないわ、この主人公。 あと、非常にヘンな気がしたのが…なにをかくそうトランクスだったりする(笑)。ブラジル人から、ブラジルではトランクスをはいてると、おじいさんみたいだ、サンバのパンツ(これ意味不明)と笑われる、と聞いたのですけど、なんでマーリオはトランクスはいてるんだろう、というのが気になって気になって。マーリオのジレンマのなせるわざかしらん? って、めちゃくちゃどーでもいいことですけどね…。 |
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風炎連峰 梓林太郎 光文社文庫![]() |
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| タイトルがはげしいわりにあっさりした感じの本です。どうもシリーズものの一作みたいですね。登山中のブラジル人が刺殺されるんですが、その被害者が群馬の太田市に住んでいた、というところから、太田を舞台に捜査が進みます。その中で太田が紹介されるような形になっているのですが、なんだかちゃっと取材してちゃっと書いた、って感じで、わたしの感想は…ずばり「二時間サスペンスドラマのあらすじみたい」。どうも小説を読んだという気がしなくて。登山好きの方には楽しめるのかもしれません。 | |||
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天皇の船 麻野涼 文藝春秋![]() |
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| 日系移民史の知識が少しでもある人なら、このタイトルでピンとくると思うのですが、戦後のブラジル日系社会の混乱がうんだ悲劇を描いた小説です。形としてはミステリですが、中でも社会派ミステリということになるんですかね。かなり硬派な小説になってます。しかし、とにかく日系社会の歴史やブラジル社会などの背景部分がかなりしっかり書き込まれてるのがすごい。ずいぶん調べてあるなぁ、よっぽど取材と下調べをやりこんだんだろうな、ブラジルに住んでた人なのかな、と感心してたのですが、調べてみたら、なんと『蒼氓の大地』の著者が別名で書いた小説でした。そりゃしっかり書けてるはずだ…。欲をいうと、謎解き部分がかけ足ぎみになってしまっているので、もうすこしじっくり書いてほしかったというのがあります。あと、ちょっとキャラクターが弱いので、もうすこし肉付けができてるとよかったと思うんですが、こういう小説だとまず女性キャラがセクシーなだけのアホに書かれてしまい、あげくのはてには殺されてしまうのがオチなのに、この作品ではそういうことがなかったというのはけっこうポイント高いかな(笑)。 | |||
国籍不明(上)(下) 麻野涼 講談社![]() |
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| くわしい感想はまた図書室のほうに書くので、ここではブラジルに関する部分についてだけ。南米に潜入した北朝鮮のスパイの一人がパラグアイで逮捕され、もう一人が使命完遂のためにブラジルを駆け回りますが、なんせ、その行き先がサンパウロ、リオ、バイーア、アマゾン、イグアス、はてはパンタナールにまで及びます。ちょっとここまで広げると観光ミステリっぽいんでは、という気がしないではないんですが、ブラジルに興味のない人も読みそうな本なので、そういう人にブラジルを知って欲しいという意図があるんでしょうね。あと、在伯コリアンについても書いてありまして、このあたりはほとんど知らないことばかりだったので、かなり興味深かく読みました。しかし、今回はピラニアやめてカンジェロにしたんですね。でももう今後は使えないですよ、魚(笑)。あと、capoeiraって、カッポエイラに聞こえる?? | |||
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| その他の国の作家による小説 |
| 熱帯雨林の彼方へ カレン・テイ・ヤマシタ 風間賢二訳 白水社 | |||
| これはファンタジーになるのかな。ブラジルに住んだことがあるアメリカの日系人の著者による不思議な小説。ブラジルのソープオペラ(ノヴェーラ)から着想を得て書かれたものらしいんですが、どこがどうというんじゃないけど、ベタな小道具を使わなくても、ちゃんとブラジルらしさは出せる、というのを証明してくれてます。じつは社会的なメッセージも含んだ小説ですが、それをさらっと書いてるとこが、小説としての世界を大事にしてる感じがして好感度大。とにかく、この小説に描かれた、ふざけてるんだか楽しんでるんだかわからない奇妙なキャラクターたち、明るくてきれいで軽やかな色彩、ふきぬける風、そういう空気がすごく好き。それにしても、この人が移民を書いた『ぶらじる丸』が平凡社から出る、と聞いてたんだけど、いっこうに出ないなぁ。 | |||
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ブラジル J・アップダイク 寺門泰彦訳 新潮社 |
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ブラジルの赤 ジャン=クリストフ・リュファン 野口雄司訳 早川書房 |
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| これは、フランスがブラジルに植民地を作ろうとしていたという史実を、通訳に育てるべく連れて行かれた兄妹の視点から描いた小説です。 主な舞台になるのは、海岸近くまで原生林におおわれ、インディオが暮らしていた時代のリオ。これを読みながら、わたしがしきりに思い出したのがA・S・ゴロンの『アンジェリク』の後半、山本鈴美香のマンガ『七つの黄金郷』(古い…)、そして映画『ダンス・ウィズ・ウルブス』でして、つまりそういう話です(この書き方でわかる人いるのだろうか?)。 まあおもしろいことはおもしろいのですが、あまり新味はないかな。昔の冒険小説風の作風、登場人物の行動、結末、どれも非常にオーソドックスな感じを受けました。フランスとブラジルってのも、べつに意外性がなかったしなぁ。 フランスではかなりうけたようですが、これはやはり宗教観のちがいがあるんじゃないかと思います。この作品では、宗教対立がかなり大きく関わってくるのですが、この対立がわたしにはどうもピンとこないうえに、そもそもキリスト教よりアニミズムの世界観のほうがしっくりくるんですよね。そうなるとこの物語の受け止め方というのはキリスト教圏の人とはだいぶ違ってくるんじゃないかと思うのです。 じつのところ、わたしは「新大陸発見」の頃の物語というのを素直に楽しめないもので、この小説でも一番期待していたのは、ほぼ手つかずのブラジルの自然の描写のほうだったんですが、「…オオアリクイの群れ?」「クジャク?」「ヒマラヤ杉?」と細かいところが気になるばかりで、この点は期待はずれでした。 ということで、この小説は、フランス史、宗教史、大航海時代、冒険小説の好きな人にはいいかもね、という感じです。ブラジル、と意気込んで読むとたぶんコケます。そのあたりはあまり期待しないほうがいいでしょう。それにしても、インディアンって訳語はやめてほしかった…。 |
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大密林 フェレイラ・デ・カストロ 阿部孝次訳 彩流社![]() |
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| これはポルトガル人作家が、自身アマゾンのゴム林で働いた経験をもとに書いたものです。アマゾンのほうに入れようかと思ったのですが、やっぱり小説なのでこっちに入れておきます。それにしても、この作品の主人公は20代のインテリ青年ですが、著者がゴム林で働いていたのは12歳からの4年間というからアンビリーバブル…。小説よりも現実のほうが過酷だったんじゃないかしらん。ゴム景気が終わったあとの話なので、景気は悪いし、労働はきつい、他から切り離された狭いコミュニティーのストレス、さらにインディオとの確執、搾取、人種差別まで加わって、かなり悲惨な要素満載な世界です。重量感たっぷりな、ある意味王道を行く『文学』です。日本人移民が入植地に向かう姿の描写もすこしあって興味ぶかいです。 | |||
南国に日は落ちて プイグ 野谷文昭訳 集英社![]() |
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| リオで暮らすアルゼンチン人の老姉妹と、彼女たちをめぐる人々の対話(手紙もあるけど)からなる、プイグ最後の長編です。 まあ、リオに住んでいるといっても、なんせ主人公が老人なのであまり外にでかけることもないんですが、隣人のシルビアの恋愛、東北に妻をおいて働くガードマンのロナルドの話など、しっかりブラジル人の物語も語られます。もっと観念的かな、と思っていたのですが、意外とそうでもなくおもしろく読めました(もちろん、いろいろ意味づけて読むこともできます)。しかし、原題は"CAE LA NOCHE TROPICAL"なんですが、アルゼンチンから見てもブラジルは「トロピカル」なんですねぇ。そう言われればそうなんでしょうが、なんか不思議な気がしてしまった(アルゼンチンからは北じゃないか、などと言わないように(笑))。 |
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| ちょこっとブラジル |
| ちょっとブラジルが関わっているものをあげてみました。他にもあると思うので、知ってる人がいたら教えてね。 |
OUT 桐野夏生 講談社 |
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| ドラマにもなりましたね。といっても、わたしはほとんどテレビを見ないのでこれも見てなかったんですが。ドラマが終わって大分たってから、なにも知らずにこれを読み始めたら、いきなりブラジル人が出てきたのでびっくりしました。アクの濃いキャラクターの中で、この出稼ぎブラジル人カズオひとりが、善良なキャラとして一種の救いになってます(最初は「げっ、ワルモノだ!」とあせりましたが…)。でも、カズオの思い出すサンパウロの光景って、ちょっとヘン…だと思う。(この本のくわしい感想はこちら) | |||
大陸游民 茅野裕城子 集英社
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| 中国の話と思って読みはじめたら(実際そうなんだけど)、北京に住む主人公のところに日系ブラジル人の友人が遊びに来てびっくり。著者はブラジル好きなのかな。別の本『韓素音の月』にも、コリア系ブラジル人が主人公になってる話があったと思う。 | |||
ブラジルから来た少年 アイラ・レビン ハヤカワ文庫 |
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| これはタイトルに反して、あまりブラジルに関係なかったような記憶がある。ナチスがからんだ話で、日本料理の料亭だか旅館だかが出てきたことくらいしか覚えてない…。 | |||
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テスタメント ジョン・グリシャム 白石朗訳 新潮社 |
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| これは、パンタナールが出てくるというので読んでみました(半分以上はアメリカが舞台です)。まあ、そうでなかったら読まなかったかな、という感じの本でしたね。おもしろいことはおもしろいんですが、なんか好きになれないキャラクターが多かったし、長さのわりには「読んだ!」という充実感もなかった。すごく売れた本らしいんですが、なんでそんなに売れたのかよくわからなかった。それと、主人公にどうも“ブラジルは第三世界”という意識が強くあるようで、そこに違和感を感じました。なんか、ワニとかアナコンダとかばっか強調してる感じがしたし…。著者のあとがきを読むとそういう意図はなかったみたいだけど、せっかくパンタナールを舞台にするなら、もっと魅力を伝えてほしかったな、と残念でした。まあ、点がからくなったのは、この本のキーパーソンになる相続人のレイチェルが、インディオにキリスト教を布教しているところにあったのかもしれません。わたしはクリスチャンではないせいか、なぜインディオに布教しなくてはいけないのかが理解できないのです。それで、この物語にのれなかったんではないかと思います。 | |||
女たちのやさしさ J・G・バラード 高橋和久訳 岩波書店 |
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| SF作家として、また映画にもなった『太陽の帝国』の原作者としても知られるバラードの自伝的小説です。くわしくはこちらに書きましたが、中年にかかってからの一章がリオでの映画祭とそこで出会った娼婦たちとの情事(というのだろうか…)に当てられています。他の章でもそうなので、とりたててこの章が、というわけではないんですが、さすがSF作家。ぶっちゃけ、けっこうヘンタイです(一応言っておくと、コレほめてます(笑))。 | |||
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| マンガ |
| 最近、マンガでもブラジル人が出てるものがちらほら出始めましたね。まだブラジル好きの人間を喜ばせるようなものにはお目にかかってないけど…あるんだろうか。 |
八雲たつ 12 樹なつみ 白水社 |
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| この巻で登場人物の一人である楠がブラジルの日系3世であるとわかります。そのとき、ブラジルでの楠の過去とかも出てくるんですが、この人たちブラジル人に見えないのよね。まあ、それだからいかん、などとアホなことを言うつもりはないんですが(楠さん好きだし)。 | |||
有閑倶楽部 18 玉の輿料理天国の巻 一条ゆかり 小学館 |
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| 主役級の一人、可憐が惚れるお金持ちのぼんぼんがブラジルの日系4世、という設定で、ブラジルレストランや、それを経営してる会社の副社長のブラジル人が出てきたりしますが、またしても、この副社長のピエーロがブラジル人に見えないんだよねぇ(レストランの店長の美吉野も、ブラジルというよりカリブ好みな感じ)。とりあえずラテン!ってイメージなんでしょうが、うーん…。 | |||
ヤスミンのDANCE! 桜木雪弥 |
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| ヤングジャンプで連載してましたが、単行本出てるのかな?ブラジルの格闘技カポエイラ(ここでは、ダンスとして扱われてる)を使う、ブラジル育ちの日本人が主人公のマンガ。ただ、連載一回目しか読んでないので、その後どういう展開をたどったかは知らなかったりする。しかし、読者サービスとはいえ、パンツ丸見えでカポエイラしないでほしかったわ。それじゃ、無邪気というより、ただのアホじゃないか…。 | |||
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